写真_葛サ和製作所奈義工場
写真_宇野部長、花房課長代理
―業務内容を教えてください。
(宇野さん)こちらの奈義工場では精密機器の製造を行っています。もともとは時計やカメラのギアをつくるのがきっかけで生まれた会社なんです。
―どちらで起業されたのですか?
(宇野さん)会社の先代の社長が時計職人でして、大阪で生まれた会社です。和歌山県出身の当時の社長が、「和」歌山を元気に「興(おこ)」そう、ということで、社名を興和製作所にしたそうです。地元をよくしようという思いがあったそうです。
―この会社に入社してみていかがでしたか?
(宇野さん)大手の会社と違う、この会社の特長は「やろうと思えば何でもチャレンジできる」ということです。会社の方針に基づいて、チャレンジすることが楽しいと思う人は、この会社がとても楽しく思えるはずです。
(花房さん)私は岡山工場で採用されたのですが、営業志望したところ、現場をよく知るべきだということで、3年ほど大阪本社で勉強をして、現在は奈義工場を任されています。
―花房さんはお若いですが、奈義工場を任されているのですね。
(花房さん)現在35歳です。
―エネルギッシュな職場のようですね。では、今までに印象に残っていることは?
(宇野さん)こちらの工場が開業した頃(1997年)、マウンテンバイクが流行っていまして、工場ではフロントサスペンションを作っていました。注文が追いつかなくて、24時間体制でフル稼働していたのを覚えています。
(花房さん)シドニー五輪の代表選手がうちの製品を使った自転車に乗っていたのですよ。
―すごいですね。オリンピック仕様なら高い品質を求められますね。ではこちらの主力製品を教えてください。
(宇野さん)半導体や液晶テレビのガラス基盤を運ぶ機械や医療器械、例えば人工関節や手術用工具など高精度が求められる製品を作っています。
―では、今一番力を入れていることは何ですか?
(宇野さん)良い人材を集めることですね。少数精鋭のチームで品質を高めることに力を入れています。
―どんな方を採用したいですか?
(宇野さん)ものづくりが本当に好きな、何がしたいのかをはっきりと言える人ですね。ものを作るために「考える」ことが大事だと思いますね。
(花房さん)学生の方にお伝えしたいんですが、奈義は「雪が多くて大変」という印象があるみたいなんですが、通勤に困るようなことはないので、どうか誤解しないでくださいね(笑)。
―わかりました。必ず掲載しますので(笑)。では、こちらでは人材育成にどのように取り組んでおられますか?
(宇野さん)外にでて、いろいろな経験をして学び取ることを大事にしています。自分で自発的に勉強しようとする取り組みを尊重するようにしていますね。
―社員との接し方で特に気をつけておられることは?
(宇野さん)あまりうるさく言わないようにしています(笑)。
―では、最後に今後の目標と課題をお願いします。
(宇野さん)地域の若い人にとって魅力的な会社になりたいと、魅力ある会社づくりに取り組みたいと思っています。
(花房さん)そのためにはこういったブログなどで情報発信できる仕組みづくりが必要だと思っています。
入社8年目の森山渚さん(28歳)と入社7年目の國忠悟さん(27歳)にお話を伺いました。
写真_森山さん、國忠さん
―どうして入社しようと思いましたか。
(森山さん)津山高専在学時に就職を相談した先生にこちらの会社を勧められて入社しました。地元(県北)への就職志望でしたので。
(國忠さん)私も津山高専の在学中に就職を相談した先生にこちらの会社を勧められて入社しました。
―現在の仕事を教えてください。
(森山さん)マシニングセンターの外段取り作業を担当しています。加工する為に必要な工具や図面、治具などを用意しています。
(國忠さん)私は3軸、4軸、5軸加工のマシニングセンターの内段取り作業を担当しています。外段取りが用意してくれた工具、治具などを機械に取り付けて操作し、製品を加工しています。
―困ったことはありましたか?
(森山さん)女子更衣室が物置状態だったんです。仕事中は作業着を着用するので着替えが必要になりますし。今はきれいにして使っているので女子学生さん、ぜひ入ってきてください(笑)。
(國忠さん)加工の技術について、わからないことが多く大変でしたが、先輩に助けてもらいました。うちの工場は27〜33歳の若いチームで仕事をしているので和気あいあいとしていてとても楽しいですよ。
(森山さん)夏はバーベキューをしたり、鍋パーティーをしたり、お酒を飲んでも会社の寮に泊まることができるので、みんな本当に仲がいいです。ちなみに寮費はタダなんです。
―学生生活並みに楽しそうですね。では、学生時代の思い出は?
(森山さん)よく遊んでいた思い出がありますね。アルバイトもしましたし、部活はバスケ部で私が学校にいたときに新しく部を作ってもらいました。
(國忠さん)硬式テニスを頑張っていました。あとは学校のレポート提出が結構大変で、苦労したのを覚えています(笑)。
―今、頑張っていることは?
(森山さん)作業の効率化ですね。今やっている仕事がすごく好きで、やりがいもあって、もっともっと効率よくできることがないか、と取り組んでいます。このあと、ぜひ工場も見てくださいね。
(國忠さん)私も作業の効率化や、加工技術の向上、品物の取替えや取り付け作業などを改善していくことを頑張っています。
―仕事が大好きなことが伝わってくるお話ですが、では社会人になって感じたことは?
(森山さん)責任です。私たちが準備した工具が悪かったら、不良品が出るだけでなく、場合によっては工具が破損して作業をしている人たちにケガをさせてしまうので、そこは、とても責任を感じる部分です。
(國忠さん)機械を使うことで危険なこともありますし、間違った手順で機械を壊すことがあってはいけないのでその点は責任をもって気をつけています。また、自分のところの製品も一般に使われることになるわけですから、とても責任を感じて仕事に取り組んでいます。
―では、これから就職を目指す人へアドバイスするとしたら?
(森山さん)自分の望んだ企業に就職できても、できなかったとしても、最低3年はその仕事を続けて欲しいと思います。自分にその仕事が向いているかどうかは、見極めるのに3年はかかると思うんですね。私自身、そんなに最初は仕事に興味はなかったのですが、4年目には仕事のうえで責任を持たされる立場になり、仕事にも興味とやりがいが出てきましたから。
(國忠さん)私も最初は仕事に興味はなかったのですが、今ではものづくりに楽しさが見出され、仕事がすごく楽しくなりました。それで最近、自分はものづくりが好きだったんだな、という実感がわいてきました。
(森山さん)あとは実家から通えるところがいいと思いますよ。慣れない仕事に慣れない一人暮らしはとても大変です。私は実家から通っているので、親に家のことを何もかもしてもらっていて、とてもありがたかったので。
―都会で一人暮らしをしてみたいとは思わなかったですか?
(森山さん)最初の頃は、都会に出たいな、一人暮らしをしたいな、とか思っていましたけど、今実感することは経済的なことも含めて、実家から通えるところに就職してよかったな、と思っています。
―では、奈義の印象はいかがですか?
(森山さん)飲食店が少ないかな?夜遅くまで仕事をして、ちょっとご飯でも食べに行こうか、となったときに飲食店がもっと増えたらよいのにな、と思います。あとは、自然も多いし良いところですよ。雪は市外の方がみなさん思っているほどそんなに降らないんですよ。
―では、自社をPRしてください。
(森山さん)チャレンジできることです。良い意味でも悪い意味でも「若い」のでチームワークよくて、縦割り社会ではないので、やりたいことにチャレンジさせてもらえることです。
(國忠さん)休憩所で普通に話していることが、提案として採用されたり、本当にいろいろと意見が話しやすい職場です。
取材後記
工場のみなさんの若さとアイデアが、みんなで考えるというチームワークにつながり、更に良くなるための努力を自発的に行う環境につながっているのではないでしょうか。取材の印象は、とにかくみなさんが明るい表情で楽しそうに仕事の説明をしてくださったこと。若い人が自由に「こうしたい」と言える環境が自然にあるような、今までにない新しいタイプの工場でした。あと、実家から通える企業に就職すること、最低3年は仕事を続けてほしい、と言った森山さんの言葉は、先輩の意見として参考になればと思います。
(取材:国本、山本)